出版局発行「わかこま」コラム6/16発行より
日本で旧暦が使われていた時代、6月は水無月や常夏月、風待月などの異称で数多くの詩歌が詠まれてきた。梅雨の時期にも関わらず、夏の季節のような表現であることを不思議に思う人も多いだろう。
旧暦の6月は現在の7月に相当するため、梅雨が明け、水が涸れる事が水無月の由来だという説がある。他にも、『奥義抄』では農事がみな為尽きてしまうので「みなしつき」といったのを間違えてしまった説、5月に植えた早苗がみな根付いたからだという説等が唱えられている。常夏月や風待月という名称も、平安時代に夏から秋にかけて咲く撫子を常夏と呼んでいた事や、ひたすら風を待つ月という事から来ているそうで、月の異名の由来には旧暦の頃の季節感や天候が大切だといえる。
近年では地球温暖化の影響で、春や梅雨の時期でも7・8月並の暑さになったり、1週間の中でも気温差が激しいときがあったりと、旧暦の名前の由来とは異なる天気の日も多い。だからこそ旧暦の由来を知ることで、現在とは違う当時の気候や生活に思いを馳せるきっかけにするのも良いだろう。