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【2学年】語り継ぐということ。

 12月1日(金)に、総合的な探究の時間で地域探究をしている生徒たちと出版局・放送局を対象に、相馬市観光協会の震災語り部として活動されている五十嵐ひで子さんをお迎えして、震災時の様子やこれからの未来を担う生徒たちに伝えたいことをお話しいただきました。なお、今回の講演は、「令和5年度ふくしまを創る若者のプラットフォーム構築事業」の一環として行われました。

津波の体験をお話されました。
生徒たちは真剣な面持ちでお話を聴いています。

 当時、五十嵐さんは市内の尾浜地区で民宿を営まれていました。自宅も兼ねたその場所で被災し、1時間後に襲ってきた巨大津波に飲み込まれました。旦那さまと同居されていた叔父さまがいらっしゃいましたが、残念ながら助かったのは五十嵐さんだけだったそうです。

震災から10日後の尾浜地区(筆者撮影)
あちらこちらが瓦礫の山です

 その後、五十嵐さんはその時の教訓を胸に、様々な場所で震災語り部として各地で津波の恐ろしさや命の大切さを伝えています。震災から12年が経ち、この語り部活動を通して五十嵐さん自身の中でも心境の変化があるそうです。「あのときのことはもちろん忘れられないけれど、前を向いて生きていこうという気持ちになっている。」そう五十嵐さんはお話されました。
 しかし、ここ相馬市は2021年と2022年に相次いで起こった福島県沖地震にて、震度6強の地震の被害を受けています。相馬市内は建物倒壊の被害が特に甚大で、本校も大きなダメージを受けています。

扉が外れたり棚から本が飛び出したりしました
壁には亀裂が入り歪んでいる箇所が多数あります

 津波被災後に転居した五十嵐さんの住まいも半壊の被害を受けたそうです。復興が進んでいた尾浜地区の旅館なども休業を余儀なくされています。これらの地震は、我々相馬市民の心にも大きなダメージを与えています。五十嵐さんも心が折れそうになりましたが、それでも語り継ぐ活動をしていこうと心を新たにしたそうです。
 生徒たちに伝えたいことは、「とにかく逃げて。逃げたら戻らないで。」これは、津波を楽観視して逃げずに留まったり、荷物を取りに戻ってしまったりして命を落とした人たちがたくさんいるのを目の当たりにした五十嵐さんの心からの願いです。そして未来を担う子どもたちに、五十嵐さんの被災体験を語り継いでいってほしいとのことでした。
 生徒たちは辛うじて震災時の記憶が残っている最後の世代です。中には同じように津波の被害を受けている生徒もいます。今回の五十嵐さんの語りを聴くことで、相馬市の現状と課題について当事者意識を持って考えていていくことを願います。

みんなにも読んでほしいですか?

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